乳蛋白も乳検データで重要な指標となり、MUNとセットで考える必要がある。
乳蛋白といえば、カゼインとホエイの2種類であり、カゼインが乳蛋白の約8割を占め、ホエイが約2割を占めている。
○カゼイン蛋白
吸収が遅いため、飲んだ後しばらく血中のアミノ酸濃度を保てるので、睡眠中の筋肉の分解を抑制するのに利用している。ジムに通っている自分も就寝前には飲むようにしている。メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニンなどが必須アミノ酸となっている。
○ホエイ蛋白
吸収が速いため、ジムで運動後に必ず飲むようにしている。バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、 ヒスチジンなどが必須アミノ酸となっている。このううち、バリン、ロイシン、イソロイシンは分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれており、筋力トレーニングの際に摂取する人が多い。
これらのうち、リジン、メチオニンなどが制限アミノ酸と呼ばれており、足りなくなりやすいとされている。これらの制限アミノ酸が乳蛋白の合成量に直結している。
では、逆に利用されずに余ったアミノ酸はどこへ行くのだろうか?
アミノ酸の基本構造は下の図のようになっており、アミノ基と有機酸から成る。
余ったアミノ酸は、アミノ基と有機酸に分けられるが、アミノ基の処理が難しい。肝臓で尿素になり、腎臓に送られ、尿として排泄される。肝臓でアミノ基が解毒されて尿素になるとき、オルニチン回路と呼ばれる回路を回すのに、エネルギーが必要となるのだ。
こうなってくると、必要なアミノ酸(リジン、メチオニンなど)を添加するのが理想的である。バイパス加工され、ルーメンで分解されないアミノ酸を含んだ製品がたくさん出ており、分娩後の給与が推奨されている。
アミノ酸はどこから供給されるのか?
① 微生物蛋白
摂取した蛋白質はルーメンで分解され、微生物の増殖に利用される。この時、できた微生物の体がルーメンを通過し、四胃や小腸で分解されてアミノ酸となり吸収される。リジンやメチオニンなどの制限アミノ酸をたくさん含んでいる良質な蛋白質である。
② ルーメンで分解されなかった蛋白質
RUP(Rumen Undegradable Protein)。消化性は微生物蛋白よりも悪い。全てがアミノ酸になるわけではない。
③ 乳牛自身から出る蛋白質
胃や腸管粘膜が剥がれたものなども蛋白質として分解され、アミノ酸として吸収される。
結局、MUNのところでも書いたが、アンモニアや尿素がたくさんあっても、ルーメン発酵が良く、飼料エネルギーが豊富であれば、微生物蛋白がしっかりと合成され、良質な蛋白を摂ることができる。結果、乳蛋白生産量を最大にできる。
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