牛の発情について③

 牛の発情持続時間が短くなり、発情発見が困難になっているという話の続き。

 牛の発情持続時間と排卵までの時間は下記のとおり。

牛の発情時間と排卵時期

 発情期が終わってから排卵までに意外と時間があることを初めて知ったとき僕は驚いた。

 では、いつ人工授精をすると受胎し易いのか?について考えていきたいと思う。

 精子が子宮内に注入されてから、卵管まで移動し受精能を獲得するまでに4~8時間以上かかる。その後、精子が受精する能力を有している時間は24時間と言われている。

 卵子は排卵してから受精する能力を有している時間は10時間と言われており、特に排卵後2時間は受精能力が高い。

 そうすると下図のように、発情終わりの前後数時間に受精できれば、受胎成績が良いと考えられている。

 牛の発情持続時間と排卵時期に対する人工授精適期

 この図を見ると良い受胎率を得ようとすると、なかなかシビアな時間に人工授精する必要があると思う。もちろん授精適期であり、この時期から多少ズレても受胎する牛も沢山いるので、ここまでシビアに考える必要はないが、この授精適期を頭に描いている人も少なくないハズだ。

 現在、農家さんが人工授精を依頼するもとになっているのが、AM-PM法と呼ばれる方法である。

 牛の発情を午前9時以前の早朝に発見した場合は、その日の午後が授精適期牛の発情を午前9時から正午に発見した場合は、その日の夕方から翌早朝が授精適期牛の発情を午後に発見した場合は、翌日の午前中が授精適期であると判断している。

 この方法は牛の発情発見時が、発情開始時期であるという考えから推測されている方法であるが、近年の牛の発情持続時間の短縮発情徴候が見えにくくなっている現状を考えると、発情発見と授精のタイミングを再考する必要性が出てきているのかもしれない(発情発見率の低い農家さんでは特に)。

(続く)

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