PTHの作用

 牛における副甲状腺ホルモン(PTH:Parathyroid Hormone)の作用は、主に血中のカルシウム濃度を調整することに関連している。主な作用として、細胞外液のカルシウム濃度を増加させ、リン酸を減少させる。

 具体的には以下のような作用がある:

① 骨からのカルシウム放出の促進: PTHは骨の破骨細胞の活性を高め、骨芽細胞の活動を抑制する。これにより、骨からカルシウムが血中に放出され、血中カルシウム濃度が上昇する。

② 腎臓におけるカルシウムの再吸収の増加: PTHは腎臓の遠位曲尿細管に作用し、カルシウムの再吸収を促進する。また、近位尿細管に対する効果によって、腎臓のリン酸再吸収を抑制する。これにより、血中カルシウム濃度がさらに維持される。

リンはカルシウムとともに骨の主要構成要素で、カルシウムの次に体内に多く存在するミネラル。そのほとんどがカルシウムやマグネシウムと結合し、リン酸カルシウムやリン酸マグネシウムとなり、骨や歯などを形成している。残りのリンはタンパク質や脂質、糖などと結合した有機リン酸化合物として、体内の細胞に存在し、核酸や細胞膜の構成要素となっているほか、エネルギー代謝や浸透圧の調整に関与したりしている。

③ 腎臓におけるビタミンDの活性化: PTHは腎臓でビタミンDの活性化を促進し、活性化されたビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタミンD)は腸管でのカルシウム吸収を増加させる。これにより、血中カルシウム濃度が高まる。

 これらの作用を通じて、PTHは牛の血中カルシウム濃度を一定に保つ役割を果たしている。牛では、カルシウムは骨の健康や筋肉の収縮、神経伝達などに重要な役割を果たしており、PTHはその調整において重要なホルモンである。

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